何かが違う
財布の中のお金が、単なる「紙」としての価値しかなくなっていることに気がつきました。
(いったい私は何を信じて今までやってきたんだろう???)
がれきの中を自問自答しながら、自転車を押して神戸へ向かいました。
芦屋から神戸に向かう途中は、夜も明けて明るい道を移動しました。
がれきが道路の真ん中まで崩れているため、自転車に乗るというものではなく、ほとんど手で押してがれきを乗り越えて神戸に向かいました。
途中では、被災した人たちが毛布にくるまり寒さをしのいだり、靴もなく道にしゃがみ込んでいる人たちばかりでした。
(今の自分には何もすることができない・・・)
自転車に積んであるおにぎりや水を分けてあげてしまうと、神戸で待っているはずの上司に渡せないから、それもできない。
それに圧倒的に足りない。
何ともいえない気持ちで、自転車を押しながら神戸に向かいました。
神戸に住んでいた上司は、家は震災でめちゃくちゃになっていましたが、ご家族にも怪我はなく無事でほっとしました。
それからは、何か今までの自分と違う自分が、身体の中にいるような変な感じを感じるようになりました。
それまで、うまくいっていた方法が、なぜか失敗してしまうようになりました。
(こんなはずではない!このやり方でいいはずだ)
焦れば焦るほど深みにはまっていきます。